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上水道セクターの予算・補助制度と民間資金導入に係る施策の現状


上水道セクターの予算・補助制度と民間資金導入に係る施策の現状については、やや古いデータではあるが、JICAの「インドネシア共和国上水道セクターに係る情報収集・確認調査報告書(2013年11月)から抜粋して参考に供したい。

(1)国家予算
「イ」国政府が、過去RPJMN(2005〜2009)において上水道セクターに投入した予算額を表 1-1-5に示す。予算は国家予算(APBN)と地方交付金(DAK)で構成されている。APBN は都市水道、DAKは村落給水の財源として使用されている。この他に地方政府予算(APBD)の一部が水道セクターに使用されているが、詳細なデータ(州/県/市の地方政府予算)の入手は困難であった。
表 1-1-5 に示すように、過去 5 年間(2005〜2009 年)の APBN の総額は約 4.6 兆ルピア(約 4.7 億ドル)、DAK の総額は約 3.2 兆ルピア(約 3.3 億ドル)となっている。図 1-1-5 に APBN と DAK の 2005〜2009 年の推移を示す。この期間中、予算額は急増しているが、安全な水へのアクセス率 は、2006 年から 2009 年までの間、前出の図 1 -1-2 に示したように村落部ではやや上昇するものの都市部では下落傾向にあり、絶対的な投入予算額の不足により水道施設整備が人口増加に追いつかない状況にあったとみることができる。
また、BAPPENAS 作成の RPJMN(2010〜2014)、ならびに MDG の目標年次である 2015年までの、安全な水への水源別アクセス率、アクセス人口の目標値1と必要な投資金額を表 1-1-6 に示す。この期間中、BAPPENASでは、2011 年以降は毎年 10 億ドル以上の投資が必要としている。


(2)必要な開発資金と投入予算とのギャップ
世界銀行の PAMSIMASプロジェクトチームは、長期国家開発計画の開始年である 2005 年から MDG の目標年次である 2015 年までに、上水道セクターの開発に必要な資金額を、都市水道で 5,527 百万ドル、村落給水で 823 百万ドル、合計で 6,350 百万ドルと試算している。
図 1-1-6 に都市水道、図 1-1-7 に村落給水における 2005〜2015 年までに必要な開発資金額と投入資金額(国家予算・地方予算・PPP 投資額)とのギャップを示す。図 1-1-6 に示すように、都市水道では 2,499 百万ドルの開発資金の調達先が未定であり、都市水道における開発資金の確保 が上水道セクターにおける重要課題となっている。


1)都市水道
主要ドナーは、過去 10 数年間、地方分権化の推進、民間セクターの参入促進・民間資金の活用 を基本方針として、限られた援助資金を村落給水に集中的に投入してきており、都市水道は、セクターリフォーム、法制度改革等に関する技術支援(T/A)が中心となっていた。
MDG の達成には巨額の開発資金が必要であるが、都市水道においては、事業主体である PDAM の多くが多額の債務を抱えおり、「イ」国政府は PDAM の債務救済のための種々の法令を施行しているが、水道料金の安さからコスト・リカバリーが難しいPDAMも多く、債務の解消が計画どおりに進まず、新たな投資を得ることが出来ない悪循環からまだ脱しきれていないのが実情である。
また、「イ」国政府はその開発資金不足を補う方法として、PPP 事業による公共インフラ整備を 推進しようとしているが、コスト・リカバリーが出来ない限り、PDAM に対する PPP 事業の適用は難しい状況にある。
2)村落給水
村落給水では、DAK が 2005 年の 152 億ルピア(15 百万ドル)から、2009 年には 942 億ルピア (96 百万ドル)に、6.2 倍に増加している。今後、2015 年までの 6 年間に 263 百万ドルの開発資 金が必要であるが、2005〜2009 年の DAK の実績(326 百万ドル)から見て、「イ」国政府予算で 十分賄えるものと思われる。
3)Indonesia Water Investment Roadmap 2011-2014 による新の資金ギャップ試算
世界銀行による支援によって 2011 年に作成された「Indonesia WaterInvestment Roadmap 2011-2014」によると、2015 年の MDG を達成するために 2011−14 年の 4 年間に必要となる 資金額(主に水道管による給水)と現状の中央および地方政府による資金投入レベルから見た投資ギャップは、表 1-1-7 に示すように必要な投資額 65.3 兆ルピア(32.7 億ドル)に対して 36.76 兆ルピア(18.4 億ドル)と大きなものとなっている。中でも、地方政府/PDAM におけるギャップ は、22.27 兆ルピア(11.1 億ドル)と際立っており、地方政府/PDAM が今後どのように資金源を 得ることができるかが大きなチャレンジとなっている。




(3)新たな補助金制度と民間資金導入に係る施策の現状
「イ」国政府では、安全な水へのアクセス率及び水道普及率の向上を図るために、DAM への新たな補助金制度と民間銀行からの融資の支援策を準備している。
1)補助金制度
@ 1,000 万栓の給水接続増加を促進するため1件当たり 200 万ルピアの補助金
A "Water Hibah"(水道セクター・グラント):RPJMN(2010〜2014)の 5年間において、3 兆ルピア(約 250 億円)を150 の県/市に供与する(1県/市当たり 200 億ルピアで必要予算 の 1/5)。供与条件は、地方政府の意欲があり事業に必要な残りの予算を地方政府予算で準備できること。  
2)PDAM への民間銀行からの融資支援策
2009 年 6 月 23 日付けで「PDAM への民間銀行融資に係る中央政府の債務保証と利子補助に関 する大統領令(No.29/2009)」が既に発布され、2009 年 8月1日から施行されている。これは財務が健全になったPDAMに適用されるもので、図 1-1-8 にその支援策の仕組みを示す。今後、この支援策が、PDAM の開発資金の調達手段として大きな役割を果たすことが期待されている。支援策の骨子は以下のとおり。
@ 国内民間銀行から PDAM への融資金額の 70%を中央政府が保証する。
A PDAM への金利は BI(インドネシア銀行)レート(2013 年 2月12日現在 5.75%)とし、市中金利との差分を最大5%まで補助する。
B 債務返済不履行の場合、中央政府が保証した 70%分の債務の 30%が地方政府、40%が PDAM の債務となる。
この支援を受けられる PDAMは、政府への負債がなく、また BPKP の監査に基づき経営が健全と評価される PDAMであり、かつ水道料金設定についてもフルコストリカバリーを達成している ことが条件となる。BAPENASS 報告書(Report on the Achievement of the MDGs inIndonesia 2011)によると、Bogor District PDAM と BRI、Ciamis DistrictPDAM と Bank Jabar、East Lombok District PDAMとBNIの 3PDAM への融資契約(総額 500億ルピア)が財務大臣との間で調印されている。

 
3)PPP インフラ事業の支援策
VGFと IIGF PPP インフラ事業を推進するため、採算性は低いが公共性の高い PPP 事業において、政府がその資金の一部を補助する制度として、VGF(Viability Gap Fund)が導入された。また、PPP 事業 において民間企業に政府保証を与えるため、IIGF による保証の仕組みができている。
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