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ジャカルタにおける水利用の現状


 ジャカルタ州の住民は水道水の安全性について、その多くが懐疑的に考えていることがインドネシア消費者団体(YLKI)の調査でわかった(資料7)。これによると、水道水を使う目的としては入浴、洗濯が主で、料理や飲料用には水道水以外を使うと回答者の多くが答えている。水道水をそのまま飲むと答えた人は全体の 14.59%で、料理に用いると答えた人は23.40%だった。また、13.64%は料理や飲料水に地下水を使っていると答え、9%は水道事業者の水道水を自宅に引いているにも関わらず飲料水の配送に頼っていると答えている。また、61.90%は自宅の水道水は臭いがしたり、透明でなかったり、変な味がすると答えている。ジャカルタ州水道公社によると、浄水場で精製された水は飲料に適した品質であることを保証しているが、途中の水道管が 70年を経過するなど老朽化しているため、錆などが出る可能性があるとしている。

 2018年夏の第18回アジア競技大会を前に、ジャカルタ州政府は、目障りとなる汚れた川を巨大なナイロンネットで覆い隠した(資料34、ジャカルタポスト紙に写真掲載)。ジャカルタに流れる 13の河川で、上水用に使用可は、1 河川のみ、しかも、全体の必要量の 2.2%しか供給できていない。 水道公社からは、年間必要量の 35%、12億 7千万リットルしか供給できておらず、不足分は、4,720 本の井戸から供給(2016 年度)されており、規制がされているにも拘わらず、井戸の本数は増加中(資料40)。また、13 の河川の96%が極めて汚染されており、BOD,リン、窒素の濃度が高い。ジャカルタの河川は 250 万 m3/日の廃水(その 70%以上が一般家庭(数百万世帯)及び商業ビルや産業活動による)を受け入れている。 2009 年制定の法律では、廃水は川に流すことを禁じているが、守られていない。

 ジャカルタでは、富裕層は貧困層より容易に清浄な水の利用ができる(資料55)。このような、健康、教育、所得に影響を与える不平等の根絶が課題。この水利用の不平等の克服は、SDGsの課題であり、世界的に解決すべき問題。富裕層の住民は、強力なポンプで地下水を汲み上げ、そのため地盤が沈下する。 地盤沈下は、洪水の頻度を増加させ、そのたびに、沿岸地域の上下水道を汚染する。 貧困層の多くはそのような地域に居住し、洪水や質の悪い水の影響を受けているが、彼らには、浄水器の設置やペットボトルの購入のためのお金がないことが多い。一方、富裕層や企業は水道に接続はせずに、強力なポンプで地下水を汲み上げて使用する。その結果、彼らのお金は、水道へは流れない。ジャカルタの水の不平等は、水道という枠を超えている。

 ところで、COVID19問題に関連した記事が2020年4月に掲載された(資料130)。KSB インドネシア(ルクセンブルグ系のポンプとバルブの製造販売会社)は、ジャカルタのスラム地域(人口密集の 2 つの集落(ジャカルタ市内の Karet Tengsin 地区))の共同浴場施設を活性化し、地域の Covid-19 の蔓延を抑えるために不可欠である清潔な水が利用できる施設と手洗い場を住民に提供している(2020年3月28日版)。清浄な水の重要性が、あらためて認識されている。

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資料7: 水道水は安全?住民調査結果、2018年4月、joho7.pdf
資料34: What makes Jakarta's rivers ugly and smelly?、2018年8月、20180801W_2.pdf
資料40: Managing Jakarta's water-related risks、2018年9月、20180901W.pdf
資料55: Why the rich in Jakarta have better access to water than the poor? It's notthe piped network、2018年12月、20181202W.pdf
資料130: Let's Wash Our Hands: KSB Revitalizes Public Baths in Jakarta Slums、2020年4月、20200402W.pdf
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